長期的目標、展望を提示

これからの温暖化対策の要として、2015年12月に採択されたパリ協定が、本年11月4日にその効力を発生しました。発効日には間に合いませんでしたが、8日に日本も批准しました。

異常気象など温暖化の悪影響への懸念が高まる中で世界的な対応強化が必要として、工業化前と比して世界の平均気温の上昇を2度を十分に下回る水準に抑制し1.5度以内に抑えるよう努力すると定めています。

エネルギーのために石油や石炭などの化石燃料を燃焼することによる二酸化炭素(CO2)の排出量は世界の排出量の約70%を占めていることから、CO2を排出しないエネルギーへの転換を進めることが必要となります。パリ協定の成立を支えたのは「エネルギー大転換」ともいえる世界的な動きです。

各国の目標を見ると、欧米ともに2030~0年には石炭火力を大きく減らし、ガスへの転換と再生可能エネルギー拡大に政策のかじを切ります。中国も電気や燃料など一次エネルギー消費の非化石燃料比率を現状の約10%から20%にすること、インドも総電力設備容量の40%を非化石燃料起源とすることを30年目標としています。いずれも相当な速度と規模でCO2を排出しないエネルギーへの転換を進めるもので、その軸を担うのが再エネです。

インドは22年までに太陽光を現在の5倍の100ギガワット、風力を20倍の60ギガワット導入することを目指しています。

企業、自治体の取り組み

日本の代表的な企業は、今世紀後半の排出ゼロに照準を定めて取り組みを始め、その中に再エネが位置づけられています。積水ハウスは太陽光発電や省エネ設備を組み合わせて、20年に新築住宅の80%をZEH(エネルギー消費が実質ゼロとなる住宅)にすると宣言しています。

トヨタ自動車が15年10月に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050]では50年にトヨタが世界で販売する新車の走行時CO2排出量(平均)を10年比で90%削減し、工場からのCO2排出量をゼロにする目標を掲げています。

将来の世代に利益を

欧州では、できるだけ広域で電気を融通しあうことで、太陽光や風力のように天候によって発電量が変動する再エネを系統に大きく導入する技術を発展させています。このように、送電網の増強とともに、再エネの大規模導入に対応する送電網の運用方法に転換していくことが必要です。

一度設置した再エネ発電設備は、安価な電気を供給してくれます。エネルギーの海外依存度の低減(エネルギー自給率の向上)、地域での産業・雇用の創出、温室効果ガスの削減、災害時の電源確保など、日本が直面するこうした課題にも対処しうる可能性を再エネは持っています。

(名古屋大学大学院教授 高村ゆかり氏の記事より引用)